青地にユニオン・ジャック、右側に黄色い円と黒い白鳥(ブラックスワン)。オーストラリア西部、大陸の3分の1を占める広大な州、西オーストラリア州の旗です。かつてヨーロッパでは「白鳥は白いもの、黒い白鳥なんて存在しない」と信じられていました。それを覆したのが、この地の黒い白鳥です。今回はそんな西オーストラリアの旗の話です。
まずは構成のおさらい
西オーストラリア旗の構成は、次のとおりです。
- 背景:青(ブルー・エンサイン)
- 左上のカントン:ユニオン・ジャック
- 右側(フライ側):黄色い円と、旗竿側を向いた黒い白鳥
色とシンボルの意味は、以下のとおりです。
- ブルー・エンサイン:イギリス(オーストラリアの母国)
- 黒い白鳥:西オーストラリアの象徴
青地に、黄色い円と黒い白鳥を配した、オーストラリアの州旗です。
「黒い白鳥なんていない」を覆した
西オーストラリア旗の、最も面白い話を見ていきます。
かつての常識
ヨーロッパでは長い間、「白鳥はすべて白い、黒い白鳥など存在しない」と信じられていました。だから「黒い白鳥(ブラックスワン)」は、「ありえないもの」のたとえだったのです。
1697年、本物が見つかった
ところが、その常識が覆ります。1697年、オランダの探検家ウィレム・デ・フラミングが、この地のスワン川で黒い白鳥を見つけました。「ありえない」とされていた黒い白鳥が、実在したのです。
「黒い白鳥なんていない」という常識が、オーストラリアでひっくり返った、有名な逸話です。この発見をきっかけに、のちに「思いがけず起きる大きな出来事」を「ブラックスワン」と呼ぶようになりました。
先住民ヌーンガーの物語
黒い白鳥には、もう1つの意味があります。先住民ヌーンガーの人々のドリーミング(神話)では、祖先がかつて黒い白鳥で、人間になったと語られています。
「スワン川植民地」 ── 白鳥の地
西オーストラリア旗の歴史を見ていきます。
黒い白鳥が象徴に
1829年、最初のイギリス人入植地は「スワン川植民地」と呼ばれました。黒い白鳥は、紙幣や最初の新聞、官報にも描かれ、植民地の象徴になっていきます。1830年代からは、西オーストラリアの紋章として使われました。
1870年、州の記章に
1870年、総督フレデリック・ウェルドが、黄色地に黒い白鳥を西オーストラリアの badge(記章)と定めました。
1953年 ── 白鳥の向きを変えた
西オーストラリア旗が制定された経緯を見ていきます。
1953年11月3日、現在の旗が採択されました。このとき、白鳥の向きを旗竿側に変えています。旗章学の慣例では、旗竿側を向くのが正式とされるため、それに合わせたのです。
旗の生き物は旗竿側を向くのが作法。だから白鳥の向きを変えた、細やかな配慮がうかがえます。
西オーストラリアという地域
西オーストラリアの基本情報です。
- 正式名:西オーストラリア州(Western Australia、WA)
- 州都:パース(Perth)
- 面積:約253万km²(オーストラリア最大の州、大陸の約3分の1)
- 人口:約297万人
- 公用語:英語
- 法的地位:オーストラリアの州
「大陸の3分の1」
西オーストラリアは、オーストラリア最大の州で、大陸の約3分の1を占めます。鉱業(鉄鉱石・金)が盛んな州です。
「クオッカとアウトバック」
ロットネスト島には、笑っているような顔の有袋類クオッカがいます。また、広大なアウトバックや、マーガレット・リバーのワインでも知られています。
まとめ:常識を覆した黒い白鳥、西オーストラリア
今回の西オーストラリア旗のまとめです。
- 青地(ブルー・エンサイン)に、左上のユニオン・ジャック、右側に黄色い円と旗竿側を向いた黒い白鳥
- ブルー・エンサインはイギリス(母国)、黒い白鳥は西オーストラリアの象徴
- ヨーロッパでは「白鳥は白い、黒い白鳥は存在しない」とされ、「ありえないもの」のたとえだった
- 1697年、オランダの探検家デ・フラミングがスワン川で黒い白鳥を発見し、常識が覆った
- この発見をきっかけに、「思いがけず起きる大きな出来事」を「ブラックスワン」と呼ぶようになった
- 先住民ヌーンガーのドリーミングでは、祖先がかつて黒い白鳥だったと語られる
- 1829年の最初の入植地は「スワン川植民地」、黒い白鳥が紙幣・新聞・官報の象徴に
- 1870年、総督ウェルドが黄色地に黒い白鳥を州の記章に
- 1953年11月3日、現在の旗を採択、旗章学の慣例に合わせ白鳥の向きを旗竿側に変えた
- オーストラリア最大の州(大陸の約3分の1)、鉱業、クオッカ、マーガレット・リバー
- 面積約253万km²、人口約297万人、州都パース
「黒い白鳥なんていない」を覆した鳥。西オーストラリアの旗は、ヨーロッパの常識をひっくり返した黒い白鳥を、州の誇りとして掲げる1枚です。