ひし形に図案化した「衣(ころも)」の字。豊田市の旗です。愛知県西三河、トヨタ自動車の企業城下町の旗で、でもこの市章、「豊田」でも「トヨタ」でもなく「衣」。じつは豊田市はかつて「挙母市(ころもし)」。市章はその時代の名残なんです。今回はそんな豊田市の旗の話です。
まずは構成のおさらい
豊田市旗の構成は、次のとおりです。
- 市章:「衣」をひし形に図案化
シンボルの意味は、次のとおりです。
- 「衣」:旧名「衣の里」=挙母
- ひし形:旧挙母藩・内藤家の紋などに見られる形
ひし形の「衣」のマーク。豊田市を象徴する1枚です。
「市章は『衣』、トヨタになる前の名前」
豊田市旗の、由来を見ていきます。豊田市は昔「衣の里」と呼ばれていたことから、「衣」の文字を図案化したものです。形は、旧挙母藩・内藤家の紋などに見られる「ひし形」をかたどっています。1951年(昭和26年)11月の制定です。旧名の「衣」を、ひし形に。落ち着いた由来です。ひし形(菱)といえば、盛岡(南部菱)・甲府(武田菱)など、形のうえで通じるマークもあります。
挙母市から、会社の名前の豊田市へ
そして、市の名前が変わった話もあります。1951年に市制を敷いた当初の名前は「挙母市(ころもし)」でした。1958年、トヨタ自動車の本社があるこの街が全国有数の「クルマのまち」に成長したことと、「挙母」が読みにくいことから、1959年に「豊田市」へ改名されました。でも市章は、挙母時代の「衣」のまま受け継がれたのです。会社の名前(トヨタ)にちなんで市名を変えたのに、マークは昔の名前(衣)のまま。珍しい歴史です。福井市(旧名・北ノ庄の北)・岐阜市(旧名・井ノ口の井)と同じ、旧名を市章に残す仲間です。会社の名前が市の名前になった、全国でも珍しい例でもあります。愛知県の県章(あいち)や名古屋市(まるはち)とは別物です。
豊田市という都市
豊田市の基本情報です。
- 正式名:豊田市
- 所在:愛知県(西三河)
- 人口:約41万人
- 法的地位:中核市
「クルマのまち」
豊田市は、トヨタ自動車本社の企業城下町で、製造品出荷額が日本一の市、豊田スタジアムで知られます。紅葉の名所・香嵐渓もあり、もとは養蚕・織物(衣)の里でした。
まとめ:「衣」、豊田市
今回の豊田市旗のまとめです。
- 市章は「衣(ころも)」をひし形に図案化、1951年(昭和26年)制定
- 「衣の里」と呼ばれた旧名にちなむ「衣」、ひし形は旧挙母藩・内藤家の紋などに見られる形
- ひし形(菱)は盛岡(南部菱)・甲府(武田菱)とも形のうえで通じる
- 当初は「挙母市(ころもし)」、1959年にトヨタ自動車にちなみ「豊田市」へ改名(挙母が読みにくいことも理由)
- でも市章は挙母時代の「衣」のまま、福井・岐阜と同じ旧名を残すパターン
- 会社の名前が市の名前になった珍しい例
- 愛知県の県章・名古屋市(まるはち)とは別
- トヨタ自動車本社の企業城下町、製造品出荷額日本一、豊田スタジアム、香嵐渓
- 人口約41万人、中核市、愛知県西三河
市章は「衣」、トヨタになる前の名前。豊田市の旗は、挙母(衣の里)という旧名を、今に残す1枚です。