青地に黄色いカヌー、左上に白い南十字星。トケラウの旗、南太平洋・ポリネシアのニュージーランド領の旗です。2009年に制定された比較的新しい旗で、カヌーは「最良の統治を求める航海」を、南十字星は「航海の道標」を象徴しています。今回はそんなトケラウ旗の話です。
まずは構成のおさらい
トケラウ旗の構成は、次のとおりです。
- 背景:青(アズール)
- 中央〜右:黄色いカヌー(帆を張ったトケラウのカヌー)
- 左上:白い南十字星(4つの星)
色とシンボルの意味は、以下のとおりです。
- 青:太平洋(トケラウ人が生計を立てる海)と空(星を抱く空)
- 黄色のカヌー:トケラウの自治への航海
- 南十字星:航海の道標、キリスト教
- 黄色:幸せで平和な共同体
カヌーと南十字星が、太平洋の航海文化と自治への道を表す。若い旗らしい前向きなシンボリズムです。
「カヌー」 ── 自治への航海
トケラウ旗の、最も重要なシンボルを見ていきます。
統治を求める航海
黄色いカヌーは、トケラウが自分たちにとって最良の統治構造を求める航海を表します。トケラウはニュージーランド領ですが、自治や将来的な自決を模索しており、カヌーはその航海の象徴とされています。
国旗のカヌーが政治的な自決への旅を表す、という現代的なメタファーです。
南十字星 ── 航海の道標
左上の南十字星は、トケラウの漁民が何世紀も航海に使った道標です。航海の方向を示すものであり、白い星はキリスト教(トケラウの生活の中心)も表しています。
カヌー(旅)と南十字星(道標)が、太平洋の航海文化を体現した構成になっています。
2009年9月7日 ── 新しい旗
トケラウ旗の制定の経緯を見ていきます。
2007年、デザインコンテスト
2007年、トケラウが新しい旗のデザインコンテストを開催しました。自治への動きの一環で、多数の応募が集まりました。
2009年2月、決定
2009年2月、トケラウ議会(General Fono)が最終デザインを承認しました。2007年の優勝案を基に星の配置を微調整し、「島の地理的位置」の代わりに南十字星を採用したものです。
2009年9月7日、正式発効
そして2009年8月、エリザベス2世が王室認可を与え、9月7日に正式発効しました。ニュージーランド総督がトケラウの指導者に旗を贈呈し、トケラウ独自の旗が誕生したのです。
21世紀に生まれた、最も新しい領土旗のひとつ。それがトケラウの旗です。
トケラウという領土
トケラウの基本情報です。
- 正式名:トケラウ(Tokelau)
- 「首都」:なし(3つの環礁が輪番で行政機能)
- 面積:約12km²
- 人口:約1,500人
- 公用語:トケラウ語・英語
- 法的地位:ニュージーランドの領土
「3つの環礁」
トケラウは、3つの環礁からなります。
- アタフ(Atafu)
- ヌクノヌ(Nukunonu)
- ファカオフォ(Fakaofo)
首都を持たず、3つの環礁が1年ごとに行政機能を持ち回る。これがトケラウの独特な統治のかたちです。
「世界最小級の経済」
トケラウは、世界で最も小さい経済を持つ地域のひとつです。人口は約1,500人で、世界で最もGDPが小さい地域のひとつとされ、ニュージーランドからの援助に依存しています。
「世界初の100%再生可能エネルギー」
トケラウには、世界的に有名な記録があります。2012年、世界で初めて電力を100%太陽光発電で賄う地域となりました。ディーゼル発電から太陽光に転換したもので、世界初の100%再生可能エネルギー地域として知られています。
国旗の黄色は太陽。文字通り、太陽光発電の島となったわけです。
「自治への模索」
トケラウは、自決を模索してきました。2006年と2007年に自由連合への移行を問う住民投票が行われましたが、2回とも僅差で否決され(必要な3分の2に届かず)、現状はニュージーランド領のままです。
国旗のカヌーは自治への航海を表しますが、投票は否決された。それが現代の現実です。
まとめ:カヌーと南十字星、自治への航海
今回のトケラウ旗のまとめです。
- 青地に、黄色いカヌー(帆を張ったトケラウのカヌー)と左上の白い南十字星
- 2009年9月7日、正式発効(エリザベス2世が8月に王室認可)
- 2007年にデザインコンテスト、2009年2月にトケラウ議会が承認
- 青は太平洋と空、黄色のカヌーは自治への航海、南十字星は航海の道標とキリスト教、黄色は幸せな共同体
- カヌーはトケラウが最良の統治構造を求める航海の象徴
- 南十字星は何世紀も漁民が使った道標
- 3つの環礁(アタフ・ヌクノヌ・ファカオフォ)、首都なし(輪番制)
- 面積約12km²、人口約1,500人、世界最小級の経済
- 2012年、世界で初めて電力を100%太陽光発電で賄う地域に
- 2006・2007年、自由連合への移行を問う住民投票、2回とも僅差で否決
- ニュージーランド領のまま
カヌーが、自治への航海を続ける。トケラウの旗は、21世紀に生まれた最も新しい領土旗のひとつであり、太平洋の航海文化と政治的自決への願いを込めた1枚です。