赤と青の横二色で、左に白い三角形があり、その中にペリカンと太陽の紋章が描かれています。シントマールテンの旗は、カリブ海のサン・マルタン島南部、オランダ王国の構成国の旗です。フランス側のサン・マルタンと1つの島を分け合っており、国旗の紋章には両国の友好記念碑も描かれています。今回はそんなシントマールテン旗の話です。
まずは構成のおさらい
シントマールテン旗の構成は、次のとおりです。
- 横2本の帯(上から):赤(チェリーレッド)・青(ネイビー)
- 左側(旗竿側):白い三角形(シントマールテン紋章付き)
紋章の構成は、以下のとおりです。
- 盾の上:灰色のペリカン+黄色い太陽(ペリカンは国鳥)
- 盾の中:黄色いセージ(島の公式の花)+ファイルブルフ裁判所+蘭仏友好記念碑
- 盾を囲む:オレンジ+水色(オランダ王室の色)
色とシンボルの意味は、次のとおりです。
- 赤:シントマールテン人民の血
- 青:海と空
- 白い三角形:平和
- ペリカン:国鳥
- 蘭仏友好記念碑:フランス側との境界・友好
アメリカ星条旗やフィリピン国旗に似た構成に、カリブ島の紋章を組み合わせた、独特の1枚です。
「フランスと分け合う島」
シントマールテンの、最大の特徴を見ていきます。
1つの島、2つの国
サン・マルタン島は、フランスとオランダが分割統治しています。北部がサン・マルタン(フランス側、約53km²)、南部がシントマールテン(オランダ側、約34km²)です。1648年のコンコルディア条約以来、約400年間にわたって平和的に共存してきました。サン・マルタンの記事でも触れたとおり、世界でも稀な「1つの島を2国が分け合う」事例です。
国旗の友好記念碑
そして、シントマールテン国旗の紋章には蘭仏友好記念碑が描かれています。これはフランス・オランダの境界を示すモニュメントであり、400年の平和的共存の象徴です。国旗の紋章に、隣の領土との友好記念碑を描くというのは、世界の旗のなかでも極めて珍しいことです。
1985年6月13日 ── ロゼル・リチャードソンのデザイン
シントマールテン旗の起源を見ていきます。
オランダ領アンティル時代
1985年当時、シントマールテンはオランダ領アンティルの一部でした。これはアルバ・ボネール・キュラソー・シントマールテン・サバ・シント・ユースタティウスの6島連合で、共通のオランダ領アンティル旗を用いていました。
ロゼル・リチャードソン
旗のデザイナーはロゼル・リチャードソン(Roselle Richardson)です。シントマールテンの女性で、1985年に独自旗のデザインを担当しました。アルバ(ホイットニー・スミス)やキュラソー(2,000件のコンテスト)と並ぶ、オランダ領アンティル各島の独自旗制定の動きが、この1985年でした。
1985年6月13日、正式採択
そして1985年6月13日、シントマールテン旗が正式に採択されました。赤・青に白い三角形と紋章を組み合わせた旗です。
2010年10月10日、構成国に
さらに2010年10月10日、オランダ領アンティルが解体されました。シントマールテンはオランダ王国の構成国となります。アルバ・キュラソー・シントマールテンが、オランダ王国のカリブ3構成国です。これにより、シントマールテン旗は正式に国旗的な地位を得ました。
シントマールテンという領土
シントマールテンの基本情報です。
- 正式名:シントマールテン(Sint Maarten)
- 首都:フィリプスブルフ(Philipsburg)
- 面積:約34km²
- 人口:約4万人
- 公用語:オランダ語・英語
- 法的地位:オランダ王国の構成国
世界で最も小さい分割島
サン・マルタン島は、世界で最も小さい、2つの国が分け合う島です。島全体でわずか87km²しかなく、フランス側とオランダ側に分かれています。2国家が陸の国境を共有する、世界最小の島なのです。
英語が主流のオランダ領
シントマールテンには、意外な言語事情があります。公用語はオランダ語ですが、実際には英語が主流です。カリブ海の英語文化と、オランダ統治が重なっているのです。観光業では英語が必須となっています。
観光と空港
シントマールテンは、カリブ海の主要観光地です。プリンセス・ジュリアナ国際空港は、マホビーチの超低空飛行で世界的に有名で、ビーチの真上を旅客機が通過します。クルーズ船の寄港地でもあります。
2017年ハリケーン・イルマ
そして、サン・マルタンと同様の被害も受けています。2017年9月、ハリケーン・イルマが島を直撃し、オランダ側も壊滅的な被害を受けました。
まとめ:ペリカンと、隣国との友好記念碑
今回のシントマールテン旗のまとめです。
- 赤・青の横二色+左の白い三角形+シントマールテン紋章
- 1985年6月13日、ロゼル・リチャードソン(女性)がデザイン、正式採択
- 2010年10月10日、オランダ領アンティル解体で構成国に
- 赤=人民の血、青=海と空、白い三角形=平和
- 紋章の灰色ペリカン=国鳥、黄色いセージ=島の花
- 紋章にファイルブルフ裁判所+蘭仏友好記念碑(フランス側との境界)
- 盾を囲むオレンジ+水色=オランダ王室の色
- サン・マルタン島はフランス(北部)とオランダ(南部)が分割、1648年コンコルディア条約以来約400年
- 島全体わずか87km²、世界で最も小さい2国分割島
- アルバ・キュラソーと並ぶオランダ王国のカリブ3構成国
- 公用語はオランダ語だが実際は英語が主流
- プリンセス・ジュリアナ国際空港(マホビーチの超低空飛行で有名)
- 2017年ハリケーン・イルマで壊滅的被害
- 面積約34km²、人口約4万人、首都フィリプスブルフ
ペリカンと、隣国との友好記念碑を1枚に。シントマールテンの旗は、1つの島を2国が分け合う、400年の平和的共存を、紋章に込めた1枚です。