金と白の地を、赤いイヌクシュク(石積みの人形)が縦に分け、右上に青い星。ヌナブトの旗、カナダ北極圏、イヌイットの準州の旗です。1999年に生まれた、カナダで最も新しく最も大きい準州で、イヌイットが多数を占め、自らの土地を治める地の旗です。今回はそんなヌナブトの旗の話です。


まずは構成のおさらい

ヌナブト旗の構成は、次のとおりです。

  • 背景:金(左)と白(右)を縦に分割
  • 中央:赤いイヌクシュク(石積みの道しるべ)
  • 右上:青い星(北極星ニキルツイツク)

色とシンボルの意味は、以下のとおりです。

  • イヌクシュク:旅人を導き、聖地を示すイヌイットの石の標
  • 青い星:北極星と、長老たちの導き
  • 金と青:陸・海・空の豊かさ
  • :カナダ全体

石積みの道しるべと、北極星を描いた、イヌイットの世界を映した1枚です。


「イヌクシュク」 ── 石を積んだ道しるべ

ヌナブト旗の中心のシンボルを見ていきます。

旅人を導く石の標

赤いイヌクシュク(inuksuk)は、イヌイットが石を積んで作る、伝統的な道しるべです。広い北極の大地で、旅人を導き、聖地を示してきました。

オリンピックでも有名

このイヌクシュクは、世界が目にしたことのある形でもあります。人の形をした石積みは、バンクーバー冬季オリンピック(2010年)のロゴでも知られています。

目印のない雪原で、石を積んだ人型が旅人を導く。そんな極北の知恵が、旗の真ん中に立っています。


「北極星」 ── 長老たちの導き

ヌナブト旗の、もう1つのシンボルを見ていきます。

ニキルツイツク

右上の青い星は、北極星ニキルツイツク(Niqirtsuituq)です。空に動かない北極星は、いつも変わらず、進む方角を教えてくれます。そこから、共同体を導く長老たちのリーダーシップを象徴しています。

動かない北極星が、人々を導く長老の象徴になっているという意味です。北極星が旗に描かれる点は、アラスカの旗とも響き合います。同じ極北の地の旗です。


1999年 ── イヌイットの準州とともに

ヌナブト旗の誕生を見ていきます。

全カナダから公募

旗はカナダ全土から800以上の応募を集めました。芸術家と地元の長老による委員会が10案に絞り、イヌイットの芸術家アンドリュー・カピックが仕上げを助けています。

1999年4月1日

そして1999年4月1日、ヌナブト準州の誕生とともに制定されました。

イヌイット自身が選び、作り上げた旗であり、自治の象徴です。


ヌナブトという地域

ヌナブトの基本情報です。

  • 正式名:ヌナブト準州(Nunavut)
  • 州都:イカルイト(Iqaluit、バフィン島)
  • 面積:約200万km²(カナダ最大の準州)
  • 人口:約4万人
  • 公用語:イヌクティトゥット語・英語・フランス語・イヌインナクトゥン語
  • 法的地位:カナダの準州

「我らの土地」

州名「ヌナブト」は、イヌイットの言葉です。イヌクティトゥット語で「我らの土地」を意味します。

「広大で、人は少ない」

ヌナブトのスケールは際立っています。カナダ最大の準州で、国土の約5分の1を占めます。一方で人口は約4万人と少なく、その大半がイヌイットです。1999年、ノースウエスト準州から分離して誕生しました。

イヌイットが自らの土地を治めるために生まれた、新しい準州。それがヌナブトです。


まとめ:石の道しるべと北極星、ヌナブト

今回のヌナブト旗のまとめです。

  • 金(左)と白(右)を縦に分け、赤いイヌクシュク(石積みの道しるべ)+右上に青い星
  • イヌクシュク=旅人を導き聖地を示すイヌイットの石の標(バンクーバー五輪ロゴでも有名)
  • 青い星=北極星ニキルツイツク、長老たちの導きの象徴
  • 金と青=陸・海・空の豊かさ、赤=カナダ全体
  • 北極星が描かれる点はアラスカの旗とも響き合う(同じ極北の地)
  • 旗はカナダ全土から800以上の応募、委員会とイヌイット芸術家アンドリュー・カピックが仕上げ
  • 1999年4月1日、ヌナブト準州の誕生とともに制定
  • 州名「ヌナブト」=イヌクティトゥット語で「我らの土地」
  • カナダ最大の準州(国土の約5分の1)、人口約4万人の大半がイヌイット
  • 1999年、ノースウエスト準州から分離して誕生
  • 面積約200万km²、州都イカルイト(バフィン島)

石を積んだ道しるべと、北極星。ヌナブトの旗は、イヌイットが自らの土地を治める誇りを、極北の知恵に込めた1枚です。