緑地に、白い渦巻き模様の花のようなマーク。ロンバルディアの旗、イタリア最大の都市ミラノを擁する北部の州の旗です。この白いマーク、カムニアのバラは、なんと約3000年前の先史時代の岩絵に由来します。古代のシンボルを、20世紀の有名デザイナーが洗練させた1枚。今回はそんなロンバルディアの旗の話です。
まずは構成のおさらい
ロンバルディア旗の構成は、次のとおりです。
- 背景:緑
- 中央:白いカムニアのバラ(ローザ・カムナ)
色とシンボルの意味は、以下のとおりです。
- 緑:ポー平原(豊かな農業地帯)
- 白いカムニアのバラ:光、先史時代の岩絵に由来
緑地に白い渦巻きの花という、古代と現代が同居する1枚です。
「カムニアのバラ」── 先史時代の岩絵
ロンバルディア旗の主役を見ていきます。
約3000年前の岩絵
中央のカムニアのバラ(Rosa Camuna)は、ヴァルカモニカ(カモニカ渓谷)の岩絵に見られるシンボルです。9つのくぼみの周りを、曲がりくねった1本の線が囲む形をしています。その起源は鉄器時代(紀元前7〜1世紀)にまで遡ります。
30万の岩絵の1つ
ヴァルカモニカには約30万もの岩絵があり、カムニアのバラは少なくとも92例見つかっています。これらの岩絵はユネスコ世界遺産に登録されています。
意味は太陽?
その意味については、諸説あります。太陽や天体の動きに結びつく宗教的シンボルだという説や、もとは太陽の意味で、後に生命や幸運をもたらす力という広い意味になったという説があります。なお「バラ」という名は、花に似ていることから付けられた現代の呼び名です。
3000年前の人々が岩に刻んだ模様が、現代の州旗の中心に据えられています。これは、はたログでも特に古い起源を持つシンボルで、シチリアのトリスケリオンよりさらに古い、先史時代の印です。
「古代を、現代デザインに」
ロンバルディア旗の面白い対比を見ていきます。
1975年、著名デザイナーが手がけた
カムニアのバラの現代版は、デザイン界の手によって生まれました。1975年、ブルーノ・ムナーリ、ボブ・ノールダ、ロベルト・サンボネット、ピノ・トヴァリアらがデザインし、同年6月12日に州の紋章になりました。旗としての正式採択は2019年2月4日ですが、実際には1975年から使用されています。
先史時代の岩絵を、20世紀の一流デザイナーが洗練させた、古代と現代の組み合わせです。ブルーノ・ムナーリは世界的に有名なデザイナー・芸術家です。
ロンバルディアという地域
ロンバルディアの基本情報です。
- 正式名:ロンバルディア州(Lombardia)
- 州都:ミラノ(Milano)
- 面積:約2.4万km²
- 人口:約1,000万人(イタリアで最も人口が多い州)
- 公用語:イタリア語
- 法的地位:イタリアの州
「イタリア経済の中心」
ロンバルディアは、イタリアの心臓部です。イタリアで最も人口が多く、経済の中心でもあります。州都ミラノはファッション・金融・デザインの都で、ドゥオモやスカラ座があります。
「ロンバルドの名」
州名「ロンバルディア」は、ゲルマン系のランゴバルド人(ロンバルド人)に由来します。
「湖とアルプス」
州内にはコモ湖やガルダ湖などの美しい湖があり、北はアルプスに接しています。
まとめ:3000年前の岩絵、ロンバルディア
今回のロンバルディア旗のまとめです。
- 緑地に、中央に白いカムニアのバラ(ローザ・カムナ)
- 緑はポー平原(豊かな農業地帯)、白いカムニアのバラは光を表す
- カムニアのバラはヴァルカモニカの岩絵のシンボル(9つのくぼみを1本の線が囲む)
- 鉄器時代(紀元前7〜1世紀)に遡る、ヴァルカモニカの約30万の岩絵の1つ(世界遺産)
- 意味は太陽や生命・幸運の力という説(諸説あり)、「バラ」は現代の呼び名
- シチリアのトリスケリオンよりさらに古い、先史時代の起源
- 1975年、ブルーノ・ムナーリら著名デザイナーが現代版をデザイン、同年6月12日に州の紋章に
- 旗としての正式採択は2019年(実際には1975年から使用)、古代と現代の組み合わせ
- 州都ミラノ(ファッション・金融・デザインの都、ドゥオモ、スカラ座)
- イタリアで最も人口が多く経済の中心、州名はランゴバルド人に由来
- コモ湖・ガルダ湖、北はアルプス、面積約2.4万km²、人口約1,000万人
3000年前の岩絵を、現代デザインに。ロンバルディアの旗は、先史時代の人々が刻んだ印を、現代の州の象徴によみがえらせた1枚です。