白地に、赤い十字。リグーリアの旗(ジェノヴァの聖ジョージ十字)です。イタリア北西部、ジェノヴァを擁する海沿いの州の旗で、実はこの赤い十字は、イングランドが自国の旗にする前から、ジェノヴァが使っていたものでした。イングランドはジェノヴァに料金を払って旗を借りていた、という逸話さえ伝わります。今回はそんなリグーリアの旗の話です。
まずは構成のおさらい
リグーリア(ジェノヴァ)の旗の構成は、次のとおりです。
- 背景:白
- 中央:赤い聖ジョージ十字
色とシンボルの意味は、以下のとおりです。
- 赤い十字:聖ジョージの十字。聖ジョージは、ジェノヴァが旗の由来として崇敬した聖人です(ジェノヴァ公式の守護聖人は洗礼者聖ヨハネ)
白地に赤い十字、ジェノヴァの聖ジョージ十字。イングランドの旗とまったく同じデザインの1枚です。
「イングランドが借りた旗」
リグーリア旗の、最も有名な物語を見ていきます。
ジェノヴァが先に使っていた
赤い十字は、もともとジェノヴァの旗でした。その起源は10世紀ともいわれ、遅くとも1113年には、ジェノヴァの象徴として使われていたとされます。
1190年、イングランドが借りた
ここから、有名な逸話が伝わります。1190年、イングランドとロンドン市は、地中海に入る自国の船のために、ジェノヴァの旗(聖ジョージ十字)を掲げる許可を得たとされます。強大なジェノヴァ艦隊の保護を受けるためです。そのお礼に、イングランド王はジェノヴァのドージェ(元首)へ毎年貢ぎ物を払った、とも伝えられます。ただし、この「1190年・毎年の貢ぎ物」という話には史料の確証がなく、広く知られた通説です。それでも、旗の使用がジェノヴァの保護下にあることの象徴だったという見方は、よく語られます。聖ジョージがイングランドの守護聖人になったのは14世紀で、旗のほうが先だったのです。
「海の共和国ジェノヴァ」
リグーリア旗の背景を見ていきます。
4大海洋共和国の1つ
ジェノヴァは、ヴェネツィア・ピサ・アマルフィと並ぶ、中世イタリアの海洋共和国の1つでした。「ラ・スペルバ(誇り高き街)」とも呼ばれます。
コルシカもジェノヴァ領だった
かつてコルシカは、ジェノヴァ共和国の支配下にありました(後にフランスへ)。聖ジョージ十字は、サルデーニャの旗の中(アルコラスの十字)にも登場します。ジェノヴァの旗は、イングランド・コルシカ・サルデーニャと、はたログのあちこちにつながっているのです。
コロンブスの故郷
クリストファー・コロンブスは、ジェノヴァの出身とされます。
リグーリアという地域
リグーリアの基本情報です。
- 正式名:リグーリア州(Liguria)
- 州都:ジェノヴァ(Genova)
- 面積:約5,400km²
- 人口:約150万人
- 公用語:イタリア語(リグーリア語も)
- 法的地位:イタリアの州
「イタリアのリビエラ」
リグーリアは、イタリアン・リビエラや、チンクエ・テッレの5つの村で知られます。海沿いに、美しい街並みが広がります。
「ジェノヴァの味」
ジェノベーゼ(バジルのペスト)や、フォカッチャは、ジェノヴァが発祥です。
まとめ:イングランドが借りた赤い十字、リグーリア
今回のリグーリア旗のまとめです。
- 白地に赤い聖ジョージ十字(ジェノヴァの旗)、イングランドの旗と同じデザイン
- 赤い十字=聖ジョージの十字(ジェノヴァゆかりの聖人。公式の守護聖人は洗礼者聖ヨハネ)
- 赤い十字の起源は10世紀ともいわれ、遅くとも1113年にはジェノヴァの象徴
- 1190年、イングランドとロンドン市が地中海の自国船のためにジェノヴァの旗を掲げる許可を得たとされる
- そのお礼にイングランド王が毎年貢ぎ物を払ったとも伝えられる(史料の確証はない通説)
- 聖ジョージがイングランドの守護聖人になったのは14世紀で、旗のほうが先
- ジェノヴァはヴェネツィア・ピサ・アマルフィと並ぶ海洋共和国「ラ・スペルバ」
- かつてコルシカはジェノヴァ領、聖ジョージ十字はサルデーニャの旗(アルコラスの十字)にも登場
- クリストファー・コロンブスはジェノヴァ出身とされる
- イタリアン・リビエラ、チンクエ・テッレ、ジェノベーゼ(ペスト)・フォカッチャ発祥
- 面積約5,400km²、人口約150万人、州都ジェノヴァ
イングランドが「借りた」赤い十字。リグーリアの旗は、イングランドの聖ジョージ十字の出どころとも語られる、地中海を支配した海洋共和国ジェノヴァの1枚です。