青地に、左上にユニオン・ジャック、右側に白いドレスの女性が灯したランプを持つ紋章。イギリス領ヴァージン諸島の旗、カリブ海のイギリス海外領土の旗です。この女性は聖ウルスラ、「ヴァージン(処女)諸島」という島の名の由来になった聖女です。11個のランプは、彼女の11人(一説に1万1千人)の乙女の仲間を表す1枚。今回はそんなイギリス領ヴァージン諸島旗の話です。


まずは構成のおさらい

イギリス領ヴァージン諸島旗の構成は、次のとおりです。

  • 背景:青(ブルー・エンサイン)
  • 左上のカントン:ユニオン・ジャック
  • 右側(フライ側):ヴァージン諸島紋章

紋章の構成は、以下のとおりです。

  • 緑の盾:紋章の地
  • 白いドレスに金のサンダルの女性:聖ウルスラ
  • 女性が持つ灯った金のランプ:周囲に11個の金のランプ
  • 標語:「Vigilate(警戒せよ)」

色とシンボルの意味は、次のとおりです。

  • 女性と灯ったランプ:聖ウルスラ、島の名の由来
  • 11個のランプ:聖ウルスラの11人の乙女の仲間(一説に1万1千人)

英連邦旗に聖女と11のランプを組み合わせた、伝説を込めた1枚です。


「聖ウルスラと1万1千人の乙女」── 島の名の由来

イギリス領ヴァージン諸島の、名前の物語を見ていきます。

1493年、コロンブスが命名

1493年、クリストファー・コロンブスが2度目の航海でこの地を発見し、命名しました。たくさんの島々を見て、聖ウルスラと1万1千人の乙女の伝説を連想し、だから「ヴァージン(処女)諸島」と名付けたと伝えられています。

聖ウルスラの伝説

聖ウルスラは、4世紀の伝説の聖女です。11人(一説に1万1千人)の乙女を率い、ドイツのケルンでフン族に殉教したとされています(諸説あり)。

たくさんの島がたくさんの乙女を思わせ、だからヴァージン諸島。ロマンある命名です。アメリカ領ヴァージン諸島も、同じ由来です。

11個のランプ

紋章に描かれた11個のランプは、聖ウルスラの11人の乙女の仲間を表します。一説には、1万1千人の信者がいたとも言われます。

国旗のランプが、殉教した乙女たちの象徴。宗教的な物語です。


1960年・1999年 ── 旗の制定

イギリス領ヴァージン諸島旗の制定史を見ていきます。

1960年、紋章制定

1960年、ヴァージン諸島紋章が制定されました。イギリスの直轄植民地になった直後のことで、標語は「Vigilate(警戒せよ)」です。

1999年、現在の旗

そして1999年、現在の旗に修正されました。盾が大きくなり、白い縁取りが加えられています。


イギリス領ヴァージン諸島という領土

イギリス領ヴァージン諸島の基本情報です。

  • 正式名:イギリス領ヴァージン諸島(British Virgin Islands)
  • 首都:ロードタウン(Road Town、トートラ島)
  • 面積:約151km²
  • 人口:約3万人
  • 公用語:英語
  • 法的地位:イギリスの海外領土

「アメリカ領ヴァージン諸島の隣」

イギリス領ヴァージン諸島は、アメリカ領ヴァージン諸島の隣にあります。同じヴァージン諸島が、イギリス領とアメリカ領に分かれているのです。トートラ島・ヴァージン・ゴルダ島・アネガダ島などから成ります。

「英領なのに通貨は米ドル」

そして意外な特徴があります。イギリス領なのに、通貨はアメリカドルです。隣のアメリカ領や近隣との経済的繋がりによるものです。

英連邦旗を掲げながら、財布の中は米ドル。面白いねじれです。

「セーリングとオフショア金融」

イギリス領ヴァージン諸島の産業を見てみます。ここは世界有数のセーリング(ヨット)の聖地です。また、オフショア金融・会社登記の中心地でもあり、世界中の企業がここに登記しています。タックスヘイブンとしても知られています。


まとめ:聖女と11のランプ、ヴァージン諸島

今回のイギリス領ヴァージン諸島旗のまとめです。

  • 青地(ブルー・エンサイン)に、左上のユニオン・ジャックと右側のヴァージン諸島紋章
  • 紋章は、緑の盾に白いドレスの女性(聖ウルスラ)が灯った金のランプを持ち、周囲に11個の金のランプ
  • 標語は「Vigilate(警戒せよ)」
  • 女性は聖ウルスラで、島の名「ヴァージン(処女)諸島」の由来
  • 1493年、コロンブスが2度目の航海で発見、聖ウルスラと1万1千人の乙女の伝説から命名
  • 聖ウルスラは4世紀の伝説の聖女で、11人(一説に1万1千人)の乙女を率いケルンで殉教(諸説あり)
  • 11個のランプは聖ウルスラの乙女の仲間
  • アメリカ領ヴァージン諸島も同じ由来
  • 1960年に紋章制定、1999年に現在の旗(盾を拡大、白い縁取り)
  • アメリカ領ヴァージン諸島の隣、トートラ島・ヴァージン・ゴルダ島など
  • イギリス領なのに通貨は米ドル
  • 世界有数のセーリングの聖地、オフショア金融・会社登記の中心地
  • 面積約151km²、人口約3万人、首都ロードタウン

聖女ウルスラと、11のランプ。イギリス領ヴァージン諸島の旗は、島の名の由来になった殉教伝説を、灯し続けるランプに込めた1枚です。