緑・白・緑の横三色、中央に2頭のライオンを従えるヘラクレス。これがアンダルシアの旗、スペイン南部、フラメンコとムーア人の遺産の地の旗です。緑はムーア時代(ウマイヤ朝)に由来します。レコンキスタが始まった北のアストゥリアスとは対照的に、アンダルシアはイスラムのアル=アンダルスの記憶を宿す1枚。今回はそんなアンダルシアの旗の話です。


まずは構成のおさらい

アンダルシア旗の構成は、次のとおりです。

  • 横三色:緑・白・緑
  • 中央(白帯):アンダルシアの紋章。2本の柱の間に立つヘラクレスと2頭のライオン

色とシンボルの意味は、以下のとおりです。

  • :希望(ウマイヤ朝の旗に由来)
  • :人々のあいだの平和(アルモハド朝の白旗に由来、欧州紋章学では議会・平和)
  • ヘラクレスとライオン:アンダルシアの精神と、理性で制すべき本能

緑白緑に、ライオンを従えるヘラクレスを配した、南スペインの旗です。


「緑は、ムーア時代の色」

アンダルシア旗の、色の由来を見ていきます。

ウマイヤ朝とアルモハド朝

緑と白は、ムーア(イスラム)時代に由来します。緑はウマイヤ朝の旗に由来し、民の結集の呼びかけを表します。白はアルモハド朝の白旗に由来し、純潔・統一・平和を表します(欧州の紋章学では議会・平和と解釈されます)。

アンダルシアの旗の緑と白は、イスラムのアル=アンダルスの記憶を宿している。レコンキスタが始まった北のアストゥリアス(勝利の十字)とは、まさに対照的な「もう1つのスペイン」です。


「ヘラクレスの柱」 ── 世界の果ての門

アンダルシア旗の、中心の紋章を見ていきます。

2頭のライオンを従えるヘラクレス

紋章には、ギリシャ神話の英雄ヘラクレスが、2本の柱の間に立っています。彼は2頭のライオンを従え、制しています。ここでのヘラクレスはアンダルシアの永遠に若い精神を、ライオンは理性で制すべき本能・力・気高さ・勇気を表します。

ヘラクレスの柱

2本の柱は、ヘラクレスの柱と呼ばれます。これはジブラルタル海峡の入り口に立つ2つの岬であり、古代に「世界の果て」とされた門です。

ヘラクレスの柱は、メリリャの旗(「これより先はなし」)やスペイン国章にも登場します。はたログでつながるシンボルです。アンダルシアはまさに地中海と大西洋の境、ジブラルタル海峡の地です。


「ブラス・インファンテ」 ── アンダルシアの父

アンダルシア旗の、生みの親を見ていきます。

1918年、ロンダの会議

この旗は、1918年のロンダの自治推進会議での合意がもとになっています。デザインしたのは、「アンダルシアの父」と呼ばれるブラス・インファンテです。

「新しいものではない」

ブラス・インファンテは、「我々は何も新しく発明していない。人々が自ら作ったものを認めただけだ」と語りました。この旗は、伝統的なアンダルシアの要素を組み合わせたものなのです。

なお、ブラス・インファンテはスペイン内戦期に亡くなった人物で、その評価には政治的側面もあります。ここでは旗の由来として中立に記すにとどめます。


アンダルシアという地域

アンダルシアの基本情報です。

  • 正式名:アンダルシア自治州(Andalucía)
  • 州都:セビリア(Sevilla)
  • 面積:約8.7万km²
  • 人口:約850万人(スペインで最も人口が多い自治州)
  • 公用語:スペイン語
  • 法的地位:スペインの自治州

「アル=アンダルスの遺産」

アンダルシアは、かつてムーア文化の中心地でした。グラナダのアルハンブラ宮殿、コルドバのメスキータ、セビリアのヒラルダの塔など、約800年に及ぶイスラム支配の遺産が残っています。

「世界が思い浮かべるスペイン」

フラメンコ、闘牛、タパスなど、世界が「スペインらしい」と思う文化の多くは、このアンダルシア発です。コスタ・デル・ソルの太陽も、この地の魅力です。


まとめ:ライオンを従えるヘラクレス、アンダルシア

今回のアンダルシア旗のまとめです。

  • 緑・白・緑の横三色と、中央に2頭のライオンを従えるヘラクレスの紋章
  • 緑は希望(ウマイヤ朝の旗に由来)、白は人々の平和(アルモハド朝の白旗に由来、欧州紋章学では議会・平和)
  • 緑と白はムーア(イスラム)時代に由来し、アル=アンダルスの記憶(レコンキスタ発祥の北アストゥリアスと対照的)
  • 紋章は、ヘラクレスが2本の柱の間で2頭のライオンを従える姿
  • ヘラクレスは永遠に若い精神、ライオンは理性で制すべき本能・力・気高さ・勇気
  • ヘラクレスの柱はジブラルタル海峡の門(メリリャの旗やスペイン国章にも登場)
  • 1918年ロンダの会議が起源、「アンダルシアの父」ブラス・インファンテがデザイン
  • 「何も発明していない、人々が作ったものを認めただけ」という言葉
  • アル=アンダルスの遺産(アルハンブラ宮殿・メスキータ・ヒラルダの塔)、約800年のイスラム支配
  • フラメンコ・闘牛・タパスなど「スペインらしい」文化の多くがアンダルシア発
  • スペインで最も人口が多い自治州、面積約8.7万km²、人口約850万人、州都セビリア

2頭のライオンを従えるヘラクレス。アンダルシアの旗は、イスラムとキリスト教が交わった南スペインの歴史を、神話の英雄に込めた1枚です。